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コンプレッサーの熱対策のご紹介

2025年7月30日

コンプレッサーは、エアツールや設備の駆動源として必要不可欠です。その安定稼働を阻害する原因の一つが「熱」です。とくに、夏場や密閉されたコンプレッサールームでは、周囲温度が高くなるため、熱によるトラブルを引き起こしやすくなります。

対策を怠っていると、過熱による故障や停止、効率が低下するといった状況に陥ります。さらに、発熱を放置していると生産ロスや修理コストの増大にもつながるため、今やコンプレッサーの熱対策は「後回しにできない」テーマといえます。

そこで本記事では、コンプレッサーの熱対策について解説していきます。

 

コンプレッサーの「熱」与える3つの影響

① 周辺機器の誤作動・故障リスク増大

コンプレッサーから発する熱は、機器自体の外装温度が環境によって最大60〜80℃にも達することがあります。この熱が密閉空間や狭い室内に滞留すると、周囲の制御盤・インバーター・センサ類にダメージを与え、誤作動や焼損事故につながる可能性があります。

とくに温度センサの誤検知やヒューズの破損は見過ごされがちですが、工場全体の生産ライン停止につながるリスクもあります。

 

② 作業環境の悪化と空調への負担増

工場内に熱がこもると、作業者の労働環境にも大きな影響を与えます。夏場などは、局所的に35℃以上の環境になることも珍しくありません。その結果、熱中症のリスクも高まります。

また、エアコンなどの空調設備が過剰に稼働することになり、月々の電気代が高騰している事例も報告されています。

 

③ コンプレッサーの寿命低下と電力ロス

熱はコンプレッサー本体にも悪影響を与えます。潤滑油の劣化が早まり、内部パーツの摩耗も進行しやすくなるため、結果的に寿命が短くなったり、運転効率が下がったりするのです。

また、温度が高くなると圧縮効率も低下し、余計な電力を消費してしまう状態になります。年間数十万円規模のエネルギーコスト増につながるケースもあります。

 

コンプレッサーの熱による故障の予兆

コンプレッサーが熱による故障を起こす前の予兆はいくつか存在します。下記のような症状が出たら要注意です。

① 本体や周辺温度の上昇

コンプレッサー本体や周辺部が異常に熱く感じる場合は、排熱がうまくいっていない可能性があるため注意が必要です。

 

② 運転中の異常音や振動

熱が蓄積すると潤滑油の劣化や内部部品の膨張により、軸受部に負荷がかかり、異音や振動が発生します。ガラガラ音や高周波のうなり音が続く場合は、ベアリング焼き付きの初期症状である可能性があります。

 

③ オイルの変色や異臭

高温にさらされた潤滑油は酸化し、茶色や黒色に変色、異臭を放つようになります。

オイルの劣化は潤滑不良を招き、最終的にはコンプレッサー本体の焼き付きにつながります。

 

④ 制御盤や保護リレーの頻繁な作動

異常な熱が発生していると、過負荷保護装置や温度リレーが頻繁に作動するようになります。自動停止が繰り返される、あるいは起動時にブレーカーが落ちる場合は、熱の蓄積の影響が出ている可能性があります。

 

コンプレッサーの熱対策

下記にて、具体的なコンプレッサーの熱対策について、紹介いたします。

対策①:熱風ダクトの設置

効果的な対策の一つが熱風ダクトを用いた排熱処理です。コンプレッサーの排気口に専用のダクトを取り付け、熱気を屋外へ直接排出することで、室内温度の上昇を抑制できます。

その際のポイントは、ダクトの断熱性・排気量に応じた口径設計です。ダクト内で熱がこもると逆効果となるため、設計段階で排気ルートと風量計算を正確に行う必要があります。

 

対策②:空冷ファン・熱交換器の導入

熱拡散を目的として、軸流ファンやシロッコファンを使った強制換気を組み合わせる方法も有効です。さらに、熱交換器を用いて熱エネルギーを回収し、冬場の暖房などに再利用することも対策の一つです。

 

対策③:コンプレッサーとエア配管の配置を見直す

エア配管のルートが複雑であったり、圧力損失が多い場合、それだけでコンプレッサーに余計な負荷がかかり、発熱が増加します。エアラインの圧力損失を見直すだけで、機器の発熱量が数%下がることもあります。

また、コンプレッサーの設置位置を壁際から離す、遮熱板を設けるといったレイアウトの見直しも、熱管理には効果的です。

 

対策④:コンプレッサールームの空調分離

最近では、コンプレッサーを作業空間とは完全に分離した専用室に設置する設計も増えています。これにより、熱や騒音、振動を作業エリアに影響させずに済むため、作業環境の改善にもつながります。

 

コンプレッサーの熱対策における当社の一例をご紹介

コンプレッサー排熱ダクト設置工事

<施工概要>

コンプレッサからの排熱で工場内の労働環境が損なわれているとのことで、排熱を集約し、換気扇より効率的に排気するようにしました。

排熱ダクトの設置により、効率的な排気を実現し、労働環境の改善につながりました。

>>本事例の詳細はこちら

 

コンプレッサーの熱対策に関するよくある質問

Q1. コンプレッサーの熱トラブルを未然に防ぐための定期点検項目は?

A1. 主に以下の点を定期的にチェックしましょう:

・オイルの劣化・量

・フィルターや冷却フィンの汚れ

・吸排気経路の詰まり

・冷却ファンの動作状況

・吐出温度と周囲温度の差

 

Q2. コンプレッサーの設置場所で熱対策に適している環境は?

A2. 高温多湿を避け、風通しの良い場所が理想です。屋内であっても、排熱を効率よく外に逃がせるように排気ファンやダクトを設けると効果的です。密閉空間に設置されている場合は、排熱の循環による温度上昇に注意が必要です。

 

Q3. コンプレッサーの熱対策を外注した方がよいケースとは?

A3. 排熱の処理が難しい、既存設備の改修が必要、複数台のコンプレッサーを一括管理したい、などのケースでは外注が有効です。工場全体のレイアウトや空調設備と連動した設計が求められるため、経験豊富な専門業者に相談すると、トータルでの熱対策が可能になります。

 

まとめ

コンプレッサーの熱対策は、「現場で起きる問題を後追いで処理する」のではなく、トラブルを未然に防ぐ「計画型保全」の一環として考えるべきです。

熱による故障、空調への負担増、エネルギー効率の悪化といった影響は、設備全体のコストや稼働率に直結します。熱を意識したレイアウトと、経験豊富な業者による工事を行うことで、機器寿命の延命・省エネ・安全性向上といった効果が期待できます。

保全担当者として、早めに手を打つことで、トラブルの芽を摘み、より安定した設備運用を実現していきましょう。

>>お問い合わせはこちら

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