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高圧受変電設備(キュービクル)とは?基本情報から押さえておきたいポイントを解説

2025年9月28日

使用電力が大きい工場では、高圧受変電設備が欠かせません。その中でも「キュービクル」は、工場・倉庫・大型施設などでよく用いられています。

しかし、以外にも「工事をする際、どこに注意すればいいのか」といった保全担当者様も多く、曖昧なまま進めてしまうと、後でトラブルやコスト増につながることがあります。本記事では、キュービクルの基本情報と工事依頼時に押さえておきたいポイントを整理し、保全・メンテナンス担当者の方が“これだけは知っておいたほうがいい”内容を具体的にお伝えします。

高圧受変電設備(キュービクル)とは?

キュービクルとは、高圧受電設備を金属製の筐体に収めて一体化した設備のことを指します。工場やビルなどでは、電力会社から6,600Vといった高圧電力を受け取りますが、そのままでは機械や照明、空調に使用できません。そこでキュービクルは、変圧器によって電圧を100Vや200Vなどの低圧に変換し、工場内に安全かつ安定的に配電する役割を担います。

キュービクルには、遮断器、断路器、避雷器、継電器、計測装置、制御装置などが収められており、過電流や短絡の遮断、落雷からの保護、電圧の安定化などの機能を持っています。さらに、機器を金属製の筐体に収めることで、雨風や粉じんから機器を守り、作業者が直接触れられないようにして安全性を高めています。

つまりキュービクルは、「高圧電力を安全に受け入れ、必要な電圧に変えて工場へ届ける心臓部」とも言え、工場の安定稼働には欠かせない設備です。

キュービクルのメリットと注意点

キュービクルのメリット

キュービクルを設置する最大のメリットは、高圧受電設備をコンパクトに収められることです。従来は構内に建屋を設けて高圧受電設備を配置する必要がありましたが、キュービクルであれば箱型に収納されており、省スペースで設置できます。また、あらかじめ機器をユニット化して製作されるため、設置工事の工期が短縮でき、初期コストを抑えやすい点も魅力です。さらに、耐候性のある金属製の筐体に収められているため、屋外設置にも適しており、雨風や粉じんから機器を保護しながら長期間安定的に運用できるのも大きな利点です。

キュービクルの注意点

一方で、キュービクルには定期的なメンテナンスが不可欠です。内部には遮断器や変圧器などの重要機器が収められており、絶縁劣化や接点の摩耗を放置すると、停電や火災といった重大なトラブルにつながるリスクがあります。電気事業法では、キュービクルを設置している事業所に対して年1回以上の定期点検を実施することが義務付けられており、法令遵守の観点からも点検は欠かせません。また、設置から20〜30年が経過すると主要機器の寿命が到来し、部品の調達も難しくなる場合があります。更新やリプレイスを計画的に検討することが、安定稼働を維持するうえで重要です。

キュービクルの寿命と更新時期

キュービクルの構成部品にはもちろんそれぞれの寿命が存在します。例えば、変圧器は20〜30年程度が一般的な耐用年数とされ、絶縁油を使用する油入変圧器の場合は、油の劣化や絶縁性能の低下が寿命の目安となります。遮断器や継電器などの保護機器は10〜20年ほどで性能劣化が進むことが多く、定期的な動作確認や交換が欠かせません。また、避雷器は雷サージを繰り返し吸収することで劣化が進むため、10年程度を目安に更新を検討する必要があります。

このように、構成部品ごとに寿命が異なるため、点検や部品交換を行いながら長期的に使用することは可能です。しかし、主要部品の多くが寿命を迎えるタイミングでは、修繕よりも設備全体を更新する方が合理的となる場合があります。特に設置から20〜30年を経過したキュービクルは、絶縁性能の低下や事故リスクが高まるため、更新工事を前提とした計画的な判断が求められます。

一般的に、キュービクルの寿命は20〜30年程度とされています。そのためには、定期的な点検と必要に応じた部品交換を継続しつつ、適切な更新時期を見極めることが重要です。更新を先送りにすると、突発的なトラブルや長期停電に直結する恐れもあるため、注意が必要です。

工事依頼時にチェックすべきポイント

① 仕様・容量の適正性

キュービクルを更新・新設する際には、契約電力や機器容量を正確に見積もることが欠かせません。現在稼働中の機器に加え、将来的に導入予定の電動機や空調、加工機まで含めた電力需要を算出し、余裕のある設計を行うことが重要です。変圧器については、コスト面で有利な油入式か、安全性の高い乾式かを用途や環境に応じて選択する必要があります。また、遮断器・継電器・避雷器などの保護機器の性能が十分であるか、設置環境に対して防水・防塵・耐候性が確保されているかも確認しておきましょう。

② 法規制・安全性・保守性

キュービクルは「自家用電気工作物」に該当するため、電気事業法に基づいた点検や保安規程の遵守が求められます。新設工事を検討する際には、絶縁油のPCB確認、絶縁抵抗測定、接地抵抗測定といった法定点検が見積もりに含まれているか確認が必要です。

③ 施工品質・コスト・スケジュール

当たり前の事ではありますが、仕様、設置工事、基礎工事、搬入作業などが見積項目として明確に含まれているかを確認し、後から追加費用が発生しないように注意しましょう。さらに、工期中の停電時間や影響範囲を把握し、生産ラインへの影響を最小化する計画があるか、夜間・休日対応などの柔軟性があるかもチェックポイントです。

将来性・維持コスト

更新工事は長期的な運用を前提とするため、維持管理のしやすさもポイントです。変圧器や遮断器など主要部品の交換頻度やコストを把握し、運用コストの見通しを立てておくことが重要です。また、省エネ型変圧器の採用はランニングコストを削減する効果があります。さらに、将来的な設備増強やレイアウト変更を見据えて余裕のある設計と拡張性を確保することで、後々の工事負担を軽減できます。

高圧受変電設備工事はお任せください

今回は、高圧受変電設備(キュービクル)に関してお伝えいたしました。当社では、高圧受変電設備(キュービクル)工事サービスを展開しております。「設置から年数が経っており、突然のトラブルで生産設備への影響が出ないか不安・・・」「点検や更新のタイミングが分からない・・・」「そもそも高圧受変電設備の工事をどこに相談すればよいか分からない・・・」といった方は一度当社へご相談ください。特に南関東エリアであれば迅速に対応いたします。

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