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油圧機器の修理・メンテナンス完全ガイド

2025年12月22日

製造現場で欠かせない油圧システム。「油圧ポンプの圧力が上がらない」「最近、異音が気になる」「オイル漏れを見つけたが、どこから修理すべきか」といった悩みを抱えていませんか?

油圧機器のトラブルは、放置すると深刻な事故や大規模な設備更新に繋がります。そこで本記事では、保全担当者が知っておくべき油圧機器の修理・メンテナンスの要点を解説いたします。

 

油圧機器・油圧ユニットの主な種類と役割

油圧システムは、複数の機器が組み合わさって動作しています。メンテナンスを行うには、まず各パーツの役割を正しく理解することが重要です。

油圧ポンプ

電気エネルギーを油圧エネルギー(流体エネルギー)に変換する、システムの心臓部です。

  • ギヤポンプ: 構造がシンプルで安価。小型機械に多い。
  • ベーンポンプ: 動作音が静かで、中圧域で使用される。
  • ピストンポンプ: 高圧・大容量に対応可能。制御性が高い。

油圧制御バルブ

油の流れ(方向)、圧力、流量を制御し、アクチュエータの動きをコントロールします。

油圧シリンダ・モータ

油圧エネルギーを機械的な動き(直線運動や回転運動)に変換する出力部です。

油圧ユニット

これらポンプ、タンク、バルブ、フィルタなどを一つのパッケージにまとめたものです。工場内の多くの自動化設備でこのユニットが採用されています。

 

油圧機器でよくある故障症状と原因

現場で発生頻度の高いトラブルには、必ず原因があります。ここでは代表的な5つの事象を解説します。

① 油圧ポンプの圧力が上がらない・圧力低下

「設定圧まで上がらない」「圧力が不安定」というトラブルは非常に多いです。

  • 原因: 油圧ポンプ内部の摩耗、リリーフバルブ(安全弁)の設定不良やゴミ噛み、あるいは吸込み系統からの空気混入が考えられます。
  • チェックポイント: 圧力計の指示値を確認し、リリーフバルブを調整しても変化がない場合は、ポンプ内部の損傷(内部リーク)の可能性が高いです。

② 油圧ポンプからの異音(キャビテーション・エアレーション)

「キーン」という高い音や「ガリガリ」という振動音は危険信号です。

  • 原因: 吸込みフィルタの目詰まりによる真空圧の上昇(キャビテーション)や、配管の継ぎ目からの空気吸い込み(エアレーション)が主な原因です。
  • リスク: 放置するとポンプ内部が破壊され、金属粉がシステム全体に回り、全滅する恐れがあります。

③ 油圧ポンプ・配管からのオイル漏れ

  • 原因: オイルシールの経年劣化、パッキンの硬化、継手部分の緩みなどが挙げられます。
  • 対策: 油漏れは火災のリスクだけでなく、作動油の浪費、床面の滑りによる労働災害にも繋がります。

④ 油温の異常上昇

  • 原因: オイルクーラーの冷却能力不足、作動油の粘度低下、内部リークによる摩擦熱など。
  • 影響: 油温が60℃を超えると、シールの劣化が早まり、作動油の酸化が急激に進みます。

油圧機器の修理・メンテナンスのポイント

故障を未然に防ぎ、寿命を延ばすためには、以下のメンテナンスが不可欠です。

油圧ポンプの「エア抜き」手順

修理後やオイル交換後は、必ずエア抜きを行う必要があります。

  1. ポンプのエア抜きプラグを緩める。
  2. 無負荷(低圧)状態でポンプを断続的に運転(寸動)させる。
  3. プラグから気泡の混入していない油が出てきたら、プラグを締める。 ※空気(エア)が残っていると、作動不良や断熱圧縮による油の炭化を招きます。

定期点検と清掃

  • 作動油の状態管理: 色、臭い、粘度をチェックします。水分が混じると白濁し、酸化すると黒褐色になります。
  • フィルタ交換: 吸引フィルタやリターンフィルタは、目詰まりする前に定期交換が鉄則です。
  • ボルトの増し締め: 振動によって継手が緩むことがあるため、定期的な確認が必要です。

油圧機器のオーバーホール(分解整備)

「まだ動いているから」と放置せず、3〜5年周期でのオーバーホールを推奨します。 オーバーホールでは、分解・洗浄・消耗品の交換(シール類、ベアリング等)・再組み立て・性能試験を行います。これにより、突発停止のリスクを限りなくゼロに近づけることができます。

 

専門業者へ依頼するメリット

「社内で修理を試みたが、余計に状況が悪化した」というケースは少なくありません。油圧機器の修理をプロに依頼するメリットは以下の通りです。

  1. 高度な診断技術: 圧力計や流量計を駆使し、目に見えない内部リークを特定します。
  2. 専用設備でのフラッシング: 修理後に配管内のコンタミネーション(汚れ)を徹底除去する専用設備を有しています。
  3. トータルサポート: ポンプ単体の修理だけでなく、システム全体のバランスを見て最適な提案が可能です。

 

油圧機器の修理・メンテナンスはお任せください!

当社では、油圧機器の修理・メンテナンスを行っております。こんなことはできないか?といったお問合せにも対応いたしますので、お気軽にご相談ください!

 

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