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工場の電気代削減は「エア配管」から!圧力損失を防ぐループ配管工事と材質選定のポイント

2026年2月18日

工場のユーティリティ設備の中で、最も電力を消費している機器は何かご存知でしょうか。多くの工場において、それは「エアーコンプレッサ」であり、工場全体の電力消費量の20%〜30%を占めると言われています。

昨今の電気代高騰を受け、多くの生産技術・保全担当者様が省エネ対策に頭を悩ませています。「最新のインバータ制御コンプレッサへの更新」や「台数制御盤の導入」は確かに効果的ですが、それには多額の設備投資が必要です。しかし、意外と見落とされているのが、エア配管の状態です。

いくら高性能なコンプレッサがあっても、配管が詰まっていたり、穴が開いていては、当たり前ですがエネルギーは無駄になるばかりです。

そこで本コラムでは、機器更新の前に検討すべき、投資対効果の高い「エア配管の省エネ工事」について解説します。

工場のエア配管で発生している「見えない損失」

「末端の設備でエア圧が足りない」という現場の声を聞いて、コンプレッサの設定圧力を上げていませんか? 実は、コンプレッサの吐出圧力を0.1MPa下げると、消費電力は約4〜8%削減できると言われています。逆に言えば、配管が悪いために圧力を上げざるを得ない状況は、年間で数十万円〜数百万円単位の電気代を捨てているのと同じです。

配管工事を見直すべき最大の理由は、この圧力損失を物理的に解消できる点にあります。

①継ぎ足し配管による複雑な経路

工場立ち上げ時に最適だった配管も、レイアウト変更やライン増設のたびに「枝管」を継ぎ足していった結果、迷路のように複雑になっているケースが散見されます。 不必要なエルボや、主管よりも細い配管での長距離輸送は、大きな圧力損失を生みます。

②配管径の選定ミス

「とりあえず20Aで引いておけばいいだろう」といった感覚的な選定は危険です。必要な流量に対して配管径が細すぎると、流速が上がり、配管内壁との摩擦抵抗が急増します。 流速は一般的に10〜15m/s以下に抑えるのが理想とされています。これを超える場合、配管径をワンサイズ上げる工事を行うだけで、末端圧力は劇的に改善します。

③老朽化した配管からのエア漏れ

古いねじ込み式の白ガス管は、経年劣化で継手部分が緩んだり、腐食によるピンホールが発生したりします。 わずか1mmの穴でも、0.5MPaの圧力下では毎分約70L以上のエアが流出し、これは年間数万円の損失に直結します。

 

圧力損失を改善する「ループ配管」工事

もし、現在の工場の配管レイアウトが、コンプレッサ室から一本の主管が伸び、そこから各設備へ枝分かれしていく「ツリー方式」になっているなら、「ループ配管」への変更工事を強くお勧めします。

ループ配管とは?

工場内をぐるりと囲むようにメインの配管を繋げ、ループ状にする施工方法です。

ループ化のメリット

・流速の半減と圧損低減 片側供給では全てのエアが上流を通りますが、ループ配管では左右両方向からエアが供給されるため、配管内の流速が分散されます。流速が下がれば圧力損失は二乗に比例して小さくなるため、末端でも高い圧力を維持できます。

・圧力の均一化 工場内のどの場所でも圧力が安定しやすくなります。特定のラインが一斉にエアを使用した際も、別ルートからエアが補給されるため、瞬間的な圧力低下による「チョコ停」を防ぐことができます。

・メンテナンス性と拡張性 将来的にラインを増設する場合でも、ループ上の任意の場所から取り出し口を設けるだけで良いため、柔軟に対応可能です。また、バルブ操作により一部区間だけを閉鎖して工事を行うことも容易になります。

 

配管材質の選定「SGP vs 軽量アルミ管」

かつての工場工事では「白ガス管(SGP)」を切断し、ねじ切り機で加工して接続するのが一般的でした。しかし、現在では「軽量アルミ配管」「ステンレス配管」へのリプレイスが主流になりつつあります。

従来の白ガス管(SGP)のデメリット

・重く、施工性が悪い: 重量があるため、高所作業での支持金具(サポート)設置や揚重作業に時間がかかり、工事費(人件費)が嵩みます。

・内部発錆のリスク: 圧縮空気にはドレン(水分)が含まれます。SGPは鉄製のため、内部が錆びやすく、その錆が剥がれて末端の電磁弁やシリンダを詰まらせるトラブルが後を絶ちません。

・摩擦抵抗: 内面が粗いため、流体抵抗が比較的大きくなります。

軽量アルミ配管のメリット

・圧倒的な軽さと施工スピード:SGPの数分の一の軽さであり、接続も専用の継手を使用するため、溶接やねじ切りが不要です。これにより、工場の稼働停止時間を最小限に抑えた「短工期」での改修が可能になります。

・耐食性とクリーンなエア:アルミやステンレスは錆が発生しません。食品工場、医薬品工場、精密機械工場など、クリーンなエアが求められる環境には必須です。また、フィルタの目詰まりも減り、メンテナンスコスト削減に寄与します。

・低い摩擦係数:アルミ配管の内面は非常に平滑です。同じ管径でもSGPより多くの流量を流すことができ、圧力損失が少ないため、コンプレッサの設定圧力を下げる余地が生まれます。

 

投資対効果を高める「部分改修」と「ゾーニング」

「工場全体の配管をやり直す予算はない」という場合でも、効果的な工事手法があります。

バイパス工事

現状の配管はそのままに、圧損が激しいボトルネックだけを特定し、太い配管でバイパスを通す工事です。これだけでも末端圧力不足が解消されるケースがあります。

ゾーニング(バルブ設置)工事

工場には「常時稼働エリア」と「定時稼働エリア」があるはずです。これらが一本の配管で繋がっていると、夜間や休日に一部の設備だけ動かしたい場合でも、工場全体にエアを送ることになり、無駄な漏れや待機電力が発生します。 エリアごとに遮断バルブ(あるいは自動開閉弁)を設置する工事を行うことで、不要なエリアへの供給をカットし、大幅な省エネを実現します。

配管は「ただの管」ではなく「重要な設備」です

コンプレッサ本体の更新は数百万円の投資になりますが、配管の一部見直しやループ化工事であれば、より低コストで同等以上の省エネ効果が得られることも珍しくありません。

・工場全体でエア漏れの音が目立つ。

・末端の設備で圧力不足のアラームが頻発する。

・配管のドレン抜きから茶色い水(錆水)が出る。

・増設を繰り返しており、配管ルートが把握できていない。

このような症状がある場合、まずは専門家による「現状診断(流量・圧力測定)」をお勧めします。弊社では、現状のエア消費パターンを測定し、最適な配管径の計算、ルート設計、そして施工までを一貫して承ります。 「空気の通り道」を整えることで、ムダな電気代を削減し、設備の寿命を延ばしましょう。工場のエア配管工事に関するご相談は、お気軽にお問い合わせください。

コンプレッサーの修理・メンテナンスはお任せください!

当社では、コンプレッサーの修理・メンテナンスを行っております。こんなことはできないか?といったお問合せにも対応いたしますので、お気軽にご相談ください!

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