クレーン導入後に点検をしていますか？事故を防ぐワイヤロープ交換のタイミングも解説

クレーンは建設現場や製造業で欠かせない機械ですが、その機能と安全性を保つためには適切な知識と定期的なメンテナンスが必要です。
技術者やメンテナンス担当者のための、クレーンに関する詳細な情報を提供する本記事では、クレーンの基礎知識から点検の重要性、適切なワイヤロープの交換時期までを解説します。

この記事を通じて、クレーンの基本から専門的な管理方法までを理解し、日常の業務に役立ててください。

□クレーンの基礎知識と様々な種類

クレーンとは、荷物を吊り上げ、移動させるための機械装置です。
法律では「動力を使って荷を吊り上げるもの」および「吊り上げた荷を水平に運搬することを目的とする機械装置」と定義されており、人力で行う吊り上げや0.5トン以下のものはクレーンに含まれません。
クレーンの種類には様々なものがあり、その利用目的や設置環境によって選ばれます。

＊主なクレーンの種類:

1:トラッククレーン

このクレーンは、トラックの荷台にクレーンが搭載されたもので、小規模な荷物の移動に適しています。
主に車両積載型とレッカー型の二種類があり、車両積載型は荷物をトラック自体に積んで運搬でき、レッカー型は交通事故で不動の車を移動する際に使用されることが多いです。

2:ラフテレーンクレーン

不整地での作業に最適なこのクレーンは、四輪駆動と四輪ステアリングを備えており、市街地といった狭い場所でも効果的に動かせます。
大型タイヤと高い機動性が特徴で、特に整地されていない現場での使用に適しています。

3:オールテレーンクレーン

高速道路走行が可能でありながら、ラフテレーンクレーンの機能も兼ね備えているため、あらゆる地形での作業が可能です。
大型のタイヤが装着され、大規模な建設プロジェクトでの使用に特化して設計されています。

4:クローラークレーン

柔らかい地面や未舗装地での活動に適しているこのクレーンは、キャタピラを使用して地面を移動します。
その構造から、安定性が高く、大型の建設物の建設現場で頻繁に利用されます。

これらのクレーンは、それぞれの特性に応じて建設現場や工事現場で多く使用されています。

□クレーンの点検を怠ったことで起きた事例

クレーンの点検は、安全な運用を確保するために非常に重要です。
定期的な点検を怠ると、予期せぬ故障や事故につながるリスクが高まります。
以下は、点検を怠ったことによる実際の事例を紹介します。

＊点検不備による事故例

1:エコライザーシーブ部の損傷

エコライザーシーブ部での摩耗と集中断線が見逃され、ロープが破断する事故が発生しました。
見えない部分の損傷が原因です。

2:片減り摩耗の見逃し

ロープ径の測定を一方向のみで行った結果、片減り摩耗が発見できず、ロープが破断しました。
定期的な全方向からの点検が必要です。

3:運用頻度の増加による早期劣化

定期的な交換スケジュールにもかかわらず、使用頻度の増加によりロープが早期に劣化し、事故に至りました。
使用状況に応じた点検と交換が求められます。

4:長期間の未点検

長期間にわたる未点検の結果、多発する疲労断線に気付かず、突然ロープが破断する事態が発生しました。
定期的な点検の重要性が浮き彫りになりました。

5:環境因子による劣化

屋外のクレーンを長期間使用した結果、繊維心の腐食やストランドの形崩れが発生しましたが、これに気付かずに使用を続けたため、最終的にロープが断裂しました。

これらの事例から学べる教訓は、クレーンの各部が常に適切な状態に保たれていることの確認と、異常が見つかった際の迅速な対応の重要性です。
定期的なプロフェッショナルによる点検と、作業現場での日常点検が不可欠です。

□ワイヤロープ交換のタイミング

クレーンの安全な運用を維持するためには、ワイヤロープの適切な交換時期を知ることが重要です。
ワイヤロープは使用条件や環境によって劣化が進行し、適切な時期に交換しなければ重大な事故につながる可能性があります。
以下に、交換が必要とされる主な状態を解説します。

＊ワイヤロープの交換が必要な状態

1:形くずれ

ワイヤロープに形くずれが見られる場合は、速やかに交換が必要です。
扁平やうねり、素線のはみ出しやキンクなどがこれに該当します。

2:摩耗と腐食

ワイヤロープの表面が光って見える摩耗や、赤さびによる腐食が見られる場合も交換のサインです。
これらの状態は、ワイヤロープの強度を低下させ、突然の断線を引き起こす可能性があります。

3:断線

ワイヤロープに断線が生じている状態は非常に危険です。
特に複数の断線が見られる場合は、直ちに交換が必要です。
ニップ断線やクラウン断線など、断線の種類に応じた詳細な点検が求められます。

これらの指標を基に、ワイヤロープの点検と交換を計画的に実施することで、クレーンの安全性を高められます。
また、使用環境や負荷条件に応じた適切なワイヤロープの選定も重要です。

□まとめ

この記事では、クレーンの基礎知識から始まり、点検の重要性と具体的な事故事例、さらにワイヤロープの適切な交換時期について解説しました。
これらの知識をもって、技術者やメンテナンス担当者はクレーンの安全な運用を確保するための基盤を少しでも固められるでしょう。
定期的なメンテナンスと適切な運用を心掛け、作業現場の安全を常に最優先に考えてください。

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